東京地方裁判所 昭和46年(むのイ)924号 決定
被疑者 氏名不詳(丸の内警察署留置四〇号) 外五名
決 定
(事件名、氏名略)
右の者らに対する頭書被疑事件について、昭和四六年六月二八日東京地方裁判所裁判官がした勾留期間延長の裁判に対し、同年七月一日弁護士永野貫太郎から右裁判の取り消しを求める旨の準抗告の申し立てがあつたので、当裁判所はつぎのとおり決定する。
主文
本件各準抗告の申し立ては、いずれもこれを却下する。
理由
本件申し立て人はいずれも、東京地方裁判所裁判官がした勾留期間延長の裁判の取り消しを求めて準抗告の申し立てに及んだものである。
しかしながら、本件記録によれば、被疑者らは氏名を秘し、警察署のいわゆる留置番号のみを表示して、口頭で、本件申し立て人を弁護人として選任する旨の意思を表明していることが明らかであるが、およそ、合理的な理由なくして自己の氏名を明らかにしないでなされた弁護人の選任は無効であるといわざるをえないし、本件において、氏名を秘匿しなければならない合理的な理由は認められない。
したがって、本件各準抗告の申し立ては、被疑者に対する弁護人としての資格がない者がした不適法な申し立てとして、いずれもこれを却下する。